誰にでも容易に唾液の採取が行なえます。
被検者に全く苦痛を与えません。
フィルターが大きい(直径19mm)ので、どこに開口部が接しても唾液が採取でき
ます。
フィルターとその下の漏斗状の部分に刻まれた溝により、目詰りしません。
唾液が器具内に停滞することなく、直ちに採取でき、刺激下の流速測定が可能
です。
オールテフロン製のため、オートクレーブなどの滅菌が可能で、繰り返しの使用
に耐えます。
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臨床検査への応用も可能です。
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唾液は元来血清がもとになって濾過分泌されたものであり、唾液中の生化学的成分
と血清のそれとの間には相関があります。したがって本製品を用いれば、わざわざ血
液を採取することなく血清中の生化学的成分値の推定が可能です。ここでは一例と
して血清中の尿素窒素と唾液中のそれとの比較データを紹介します。 |
血清と耳下腺唾液中の尿素窒素濃度の相関 |
使用法:披検者自身でも、簡単に採唾できます。
・耳下腺または顎・舌下腺の開口部を鏡で見ながら吸着面を密着させます。
・そのまま2mlほどシリンジを引いて減圧させます。
・必要に応じて一定の固形刺激剤(普通は酸味ドロップ小梅(ロッテ)1個)を
舌の上にのせ静かに動かします。
・数分〜10分間続け、静かにはずします。流速(ml/min)も直ちに算出でき
ます。 |
【参考文献】
1.久保木芳徳:採唾法と唾液の生化学検査,歯科ジャーナル第16巻:725-732頁 1982年
2.久保木芳徳、藤沢隆一:唾液の採取法と取り扱い,臨床検査第30巻:937-942頁 1986年
3.唾液採取法、歯科医学大辞典:1666頁,医歯薬出版。
4.押鐘篤、覚道幸男:唾液のはなし,OHブックス,口腔保健協会。
5.Kuboki, Y.et al., Jpn. J. Oral Biol. 24:548-550(1982)
【解 説】
1986年ノーベル医学・生理学賞は細胞増殖因子を発見したS・コーエン博士と、R・レ
ビモンタルチーニ博士が受けましたが、二人はマウスの顎下腺に大量の増殖因子(神
経増殖因子(NGF)と上皮増殖因子(EGF))を発見したのでした。この研究は今日のす
べてのがんの増殖因子研究のもとになっています。
また、最近になって歯槽膿漏(歯周疾患)の原因菌、バクテロインデス・ジンジバリス
の出す毒素(プロテアーゼ)の作用を、ヒト唾液中のタンパク質ヒスタチンが、ほぼ完全
に阻止することが発見されました(北大・歯学部生化学グループ)。このことは歯槽膿
漏の予防と治療に新しい展望を開きました。
この他にもまだまだ唾液をめぐって未知の可能性が秘められており、唾液は今なお
神秘の液体と云われている所以です。
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